以前「太陽光発電の2019年問題とは?」という記事を書きました。更に2020年には「発送電分離」もあります。このように2019年から2020年にかけては、電気業界で色々と起きるだろう事が分かっています。実はここにもうひとつ、「照明の2020年問題」というのがあります。
政府の省エネ推進や国際条約である「水俣条約」。大手照明メーカーの蛍光灯器具や水銀ランプの生産終了の発表などにより、2020年を節目に照明の環境が変わることが予想されます。まずは何が起きるのかを知り、早めに対策することをお勧めします。
蛍光灯には水銀ガスが使われています。蛍光灯の中で電子が水銀ガスにぶつかることで紫外線が発生し、その紫外線がガラス管に塗られた蛍光塗料にぶつかることで、蛍光灯が発光するのです。その水銀ガスの材料となるのは水銀ですが、実は猛毒の物質です。かつて日本でも1956年に水銀が原因となった「水俣病」という公害事件がありました。化学工場が海に流した廃液に水銀が含まれており、結果として多くの人達が水銀による健康被害を訴えました。そこで「水俣条約」により、2020年以降そうした水銀を使った製品の製造・輸入・輸出などが大幅に規制されることとなったのです。
あくまでも「大幅に規制」なので、蛍光灯などが全く作られなくなる、という事では決してありません。それにつきましては、日本照明工業会も声明を発表しています。
一般社団法人日本照明工業会:蛍光灯製造に関するマスコミ報道に対するご説明(pdf)
最近、新聞、テレビ等で白熱電球や蛍光ランプが 2020 年をめどに実質製造禁止となるという報道がなされ、各方面からのお問い合わせが殺到しておりますので、当工業会が経済産業省に確認した内容をご説明致します。
エネルギー消費効率の高い製品の普及促進をめざし、製造事業者等に機器等のエネルギー消費効率の向上努力を求めているトップランナー制度に関して、照明製品を一本化した新たなトップランナー制度の導入検討がこれから開始されますが、これは2020 年に白熱灯(白熱電球)、蛍光灯(蛍光ランプ)の製造を禁止するものではないとのご回答をいただきました。
蛍光灯などが全く作られなくなるわけではありませんし、使用自体が禁止されるという事ではありません。そこは安心していただきたいのですがしかし、生産量などが大幅に少なくなる事は間違いありません。すぐにという事は無いと思いますが、遠からず蛍光灯や蛍光灯取り付け器具の製造が終了してしまうという事も考えられます。ですのでどうしても蛍光灯を使いたい、工場などでの生産作業でどうしても必要だ、という方たちは今のうちに蛍光灯を買いためておくか、あるいは新しい手段を探すのがいいと思われます。
蛍光灯の代わりとなるものは、白熱電球と、そしてやはりLED照明ということになるでしょう。何度か書いていますがLED照明は消費電力も少なく寿命も長いため、蛍光灯などよりもずっと省エネです。導入費用も一時期よりかなり下がってきていますので、コストダウンにも繋がります。これからの照明の主流は、間違いなくLED照明となっていくでしょう。
また2020年に近づけば近づくほど、同じようにLEDを導入しようとする企業が増えるでしょうし、そうなると取り付け部分の工事などが立て込んでなかなか工事日程が決まらない、という可能性も出てきます。
現在LED照明の導入を検討されている方は、これを機会にLED照明を導入されてはいかがでしょうか。