4月20日のWTI原油先物で、原油価格が暴落いたしました。米WTI原油先物市場初のマイナスとなってしまったのです。
東洋経済オンライン:原油先物価格が暴落、ついに史上初のマイナス
[20日?ロイター] – 米取引時間の原油先物は暴落し、米WTI原油先物の期近5月物は史上初めてマイナス圏に陥った。需要急減を受け米オクラホマ州クッシングの原油受け渡し場所の貯蔵施設が間もなく満杯になると予想される中、買い手がほぼ完全にいなくなった。
米WTI原油先物の期近5月物<CLc1>の清算値は306%(55.90ドル)安の1バレル=マイナス37.63ドル。一時はマイナス40.32ドルまで下落した。
記事にもあるように、原因は原油の需要が急減してしまったことにあります。何故原油の需要が減ったかと言えば、そもそもの原因は新型コロナウイルスにあります。新型コロナウイルスにより生産活動などが縮小せざるを得なくなり、原油が余っている状態になってしまっているのです。
原油価格はいずれプラスに戻るだろう、と予測はされていますが、この状態はまだ当面続きそうです。人によっては今回の事を「逆オイルショック」と呼ぶ方もいらっしゃいます。
さてこの原油価格マイナスですが、当然のことながら日本にも影響は及ぼすことでしょう。その中でも特に電気代には、すでにご存知のように「燃料調整費用」という項目があります。これは火力発電に必要な原油などの価格が、私達の電気代に上乗せされているという事になります。
原油価格がマイナスになるのであれば、当然この燃料調整費用もマイナスになるでしょう。そうなれば電気代も安くなるかもしれません。しかし、実はそう簡単にはいかないのです。燃料調整費用には原油の購入費用も当然含まれますが、原油以外にも石炭やガスなども火力発電の燃料として使われています。それらの費用も含まれているわけです。またそうした原油や石炭、ガスなどを日本まで輸送してくるための費用も含まれています。ですので、単純に原油価格がマイナスになったからといって、燃料調整費用は多少安くはなるでしょうけれど、マイナスの値になるという事では決してありません。
更に電気代自体は、以前の報道にもあったように、5月の電気代は大手電力会社全てで値上がりとなっています。これは「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が値上がりをしたためです。
燃料調整費用が安くなっただけでは、電気代全体に与える影響は微々たるものですし、逆にその分のマイナスを取り戻すために再生可能エネルギー発電促進賦課金が更に値上げになる、という可能性も十分考えられるのです。
そこで重要になってくるのが、「電気代基本料金」です。工場電気ドットコムでは以前から、「電気代基本料金を下げておくことが大切だ」と繰り返し言ってまいりました。電気代基本料金は一度下がると、値上がりをしないのです。この辺りについては、またいずれ書いていきたいと思います。
原油価格は確かに電気代の重要な部分を占める、構成要素のひとつです。しかしそれがマイナスになったからといって、すぐに電気代全体がマイナスになるような事は、全く無いとは言えませんが、微々たるものでしょう。また原油価格はいずれ値上がりするでしょうから、そこに期待をするくらいであれば、新電力に切り替えて電気代基本料金を下げておいた方が、値下げ効果としては確実なものとなります。
少しでも電気代を下げたいとお考えの製造業の方、まずはお問い合わせください。