テレビを見る、スマートフォンを使う、美味しいご飯を炊く、洗濯をする、夜になったら部屋を明るくする……などなど、電気はいまや私達の生活とは切っても切り離せません。そんな電気と実は密接な関係にあるのが「磁力」つまり磁石の力です。一体電気と磁力はどのような関係にあるのでしょうか?
磁力の特徴
まず磁力から見ていきましょう。磁力にはN極とS極があります。異なる極同士はひきつけ合い、逆に同じ極同士は反発し合います。このN極とS極は1つの磁石に必ず両方存在するのが大きな特徴です。一つの磁石を半分に割った場合でも、片方にN極、もう片方にS極が生まれます。
磁石を水などに浮かべると、N極が北の方向を向くという特性があります。これは地球が大きな磁石であるために、起きる現象です。北極側がS極になっているために引き合うのです。この特性は羅針盤などに利用され、方向を知るのに大きく役立ち待つ。
電気の特徴
続いて電気の特徴です。電気にはプラスとマイナスがあります。これは物質の電子の偏りによって生み出されます。物質は普段は電子の偏りが無い状態ですが、摩擦などにより、電子が多くなった状態あるいは電子が少なくなった状態に代わります。
この時、電子の多い方から少ない方へと電子が流れますが、これが電気です。電子の数が多いものがマイナス、少ないとプラスになります。このプラスとマイナスは磁力のN極・S極と同様に同じものは反発しあい、違うものは引き合います。このように電気と磁力は似たような性質を持っているのです。
電気と磁力の関係
このように両者は似たような性質を持っているのですが、それを利用した面白い性質があります。何かプラスチックの筒状のものを芯として、そこにエナメル線を巻きつけてコイルを作ります。エナメル線をおよそ50回程度巻いたら、プラスチックの中心に鉄の釘などをいれ、エナメル線に電流を流すと、コイルが磁石の性質を持ちます。これを「電磁石」といいます。小学校の実験でやった方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。
この電磁石はエナメル線を巻く回数により磁力の強さが変わってきます。また当然N極とS極が出来るのですが、電気のプラスとマイナスを入れ替えると、このN極とS極も入れ替わってしまいます。
電磁石は電気で磁石を作るというものですが、実はこれは逆にすること、つまり磁石で電気を作り出すことも可能です。
先程のようにエナメル線を巻いてコイルを作ります。そのコイルに磁石のN極を近づけるとコイルに電流が流れるようになります。この現象を「電磁誘導」と言います。この時、近づける磁力の力が大きければ大きいほどに、流れる電流は大きくなります。そして実はいわゆる「発電」のほとんどは、この電磁誘導の技術を応用して行われます。
発電の仕組み
現在行われている多くの発電はこの「電磁誘導」を利用して、行われています。とても巨大なコイルを作り、そのそばで巨大な磁石を回すのです。そうするとコイルに磁石のN極が近づくたびに電気が発生するのです。
この時に磁石を回すのに大きな力が必要となります。原子力発電や火力発電などでは熱によりお湯を沸かしその蒸気を利用して、磁石を回しています。水力発電などでは水の流れる力で磁石を回します。風力発電では風の力で磁石を回しているのです。基本的には全て同じ仕組みなのです。
最後に
このように電気と磁石の間には、実に多くの共通点があります。そしてその磁石の力を使うことで、私達は電気を手軽に利用することが出来るのです。普段私達が電気を使っているときに、ちょっと磁石のことを思い出してもいいかもしれませんね。