豪雪が太陽光発電の弱点である理由とは?

太陽光発電といえば、ご存知の通り再生可能エネルギーとして注目を集めている発電方法です。しかしそうしたイメージとは別に、実際には太陽光発電は大量の発電も安定した発電も出来ません。なにしろ太陽光発電は「太陽が出ていないと発電ができない」のが最大の弱点です。夜間はもちろん発電できませんし、曇天や雨天でも発電量が相当落ちてしまいます。そういった意味では、かなり気難しい存在だと言うことが出来るでしょう。

もちろんそれ以外にもいくつもの弱点はあります。特に「雪」「豪雪」に対しては、太陽光発電はほぼ無力ですし、場合によっては大規模な損傷を受ける可能性があるのです。

メガソーラービジネス:「令和3年豪雪」が太陽光発電所に残した”爪痕”、雪解けで明らかに

この「令和3年豪雪」では、短時間で大量の雪が降り積もったことが特徴的だった。新潟県では24時間で1mを超える激しい降雪に見舞われた地域もある。上越市では、1月8~10日までの3日間で集中的に雪が降り、最深積雪が250cm近くに達した。最深積雪では北海道岩見沢市で12月に142cmで観測史上1位となったほか、富山県や新潟県、秋田県などで、記録的な積雪量となった。

これらの地域にある太陽光発電所の中には、太陽光パネルが外れて損傷したり、基礎や架台が変形したサイトもある。こうした被害は、雪に埋もれている状況では把握しにくい。春になり雪解けとともに散乱したパネルが現れるなど、被害の全容が明らかになってきた。

元々、こうした雪国の太陽光発電所は、設計段階からある程度、積雪に対応している。アレイ(太陽光パネルの設置単位)の設置角を30~40度程度まで傾けて雪が滑り落ちやすくしているほか、パネルから落ちた雪が山になってもアレイと繋がらないように、地面からアレイ最低部との設置高を1m程度など大きく確保しているサイトが多い。

しかし、今回のように短時間で激しい降雪があると、太陽光パネルから滑り落ちる間もなくアレイに大量の雪が積もってしまい、架台に大きな荷重がかかる。この荷重にアレイ後方を支える支柱が耐えられずに北側に押しつぶされてしまうと架台全体が崩壊してしまう。

太陽光発電では太陽光発電パネルの設置が必要となります。太陽光パネルの画像などは皆さん見たことあるかもしれませんが、架台にパネルが乗っているような状態です。しかし雪が大量に降ってしまうことで太陽光パネルに雪が積もり、その重みで架台や太陽光パネルが破損・倒壊してしまうのです。記事内には実際に倒壊した太陽光パネルの写真が掲載されているのですが、これでも雪用にある程度頑丈にしたものだそうです。かなり衝撃の画像ではないでしょうか。

単純に太陽光が当たらないから発電ができないならまだしも、太陽光パネル自体が損傷してしまっては、以後の発電ができなくなります。これは大雪だけでは無く、防風や水害などでも十分起きるリスクです。太陽光発電を神聖視する人は良く「原子力発電所は事故が起きると危ない!」と言いますが、実際には太陽光発電でも、もちろん規模は違いますが、このような事故は十分起きますし、回数という面で考えると太陽光発電の方がこうした事故は多いと考えることも出来ます。「人名に関わる事故」という面からでも、例えば台風の時に太陽光パネルが飛散して人に衝突してしまうという事故は十分考えられます。あるいは飛散した太陽光パネルがどこかの池や水たまりに落下した場合、日光が出てそのまま発電を開始して、近くの人が感電してしまうという事故も十分起きます。「危険性」という意味では、太陽光パネルにもたくさんの危険な要因があるのです。

もちろんこうした危険に対して、対策は可能です。太陽光パネルを頑丈にしっかり固定してやればいいのです。しかし既に挙げているように、リンク先に出ている写真にはすでに雪対策を行った太陽光パネルも含まれているのです。そして更に対策を行うのであればその分費用がかかりますので、そうした費用分が電気代に上乗せされるのは当然の流れだといえるでしょう。

太陽光発電には今もって「クリーンで安心」というイメージがあります。しかしこの数年で分かってきたのは、太陽光発電にもリスクはあるし、決して100%安心できるものでは無い、という事です。それでいて夜間や雨天・降雪時には発電が出来なくなるわけですから、これは「発電効率」という面から見ると、かなり「劣っている」と見られても仕方有りません。もちろんそれらを改善していくことは必要なのですが、少なくとも今現在はそうした現実を見据えて、太陽光発電だけに頼らないように原子力発電所などを併せて利用していくことが必要なのでは無いでしょうか。