LNGの供給不足が起きるのは何故なのか?

現在日本では火力発電の燃料である石油が、LNG(液化天然ガス)に取って代わりつつあります。火力発電では燃料として、主に石油・石炭・そしてLNGが使われています。それら三種類の中ではこのLNGは、もっとも温暖化ガスの排出量が少ないのです。「脱炭素」を目標として掲げている我が国では、当然ですがこのLNGを主力として使うようになっているのです。

しかしこのLNGは原油同様に、海外からの輸入に頼っています。そのため時としてトラブルなども発生してしまいます。

日本経済新聞:LNG不足のなぜ 生産・物流混乱が壁 電力需給逼迫で

日本列島を襲った寒波の影響で全国で暖房の利用が増え、電力需給が逼迫している。要因のひとつとなっているのは、発電燃料となる液化天然ガス(LNG)の在庫不足だ。想定外の寒波に加え、パナマ運河の渋滞問題などLNGの国際的な物流網に遅れが出ている。複合的な要因が重なり、LNGの不足につながった。発電電力量の約4割をLNG火力に頼る日本に及ぼす影響の大きさが顕在化した。

日本を含め、中韓や台湾などでも厳冬による調達増で需要は旺盛だ。特に厳格な防疫体制をしいた中国は、新型コロナウイルス拡大の影響からいち早く生産活動が回復した。企業活動が持ち直して電力需要も増し、LNGの輸入を増やしている。

一方、供給面ではLNGの生産・物流で混乱が生じている。米国産LNGをアジアに輸出する際に経由するパナマ運河は、アジア向けの取引増で通行に時間がかかっている。メキシコ湾岸に集積する生産地では「輸送に影響が出ている」(大手商社)という。

これは今年1月の記事です。電気代の大幅高騰をご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。この記事に書かれているとおり、現在LNGは世界各国で取り合いとも言える状況になってしまっています。また輸送のための船舶が密集してしまい、なかなか動けなくなっているというトラブルも発生しています。

LNGが世界各国で取り合いになっている、という事は逆に考えるとそれだけ優れたエネルギーだという事にもなります。しかし輸送や保存が困難である、という事は別の問題だといっていいでしょう。また世界各国で取り合いになっている、という事はいつまた今年の冬のような大幅電力不足・電気代高騰にならないとも限らないのです。実際にそうなる恐れがある、という見通しも出てきています。

「冬の電力確保できない」発現の真意とは?

夏の電気も大幅不足!2021年の電力事情

LNGは確かに優れたエネルギーなのかもしれません。しかしそればかりに頼ってしまうのであれば、結局は電気不足・電気代高騰を招いてしまいます。万が一に備えて複数の発電方法を準備しておくことが、もっとも賢い方法だと言えるでしょう。そして日本の現状を考える限りでは、最も大量の電気を安定して確保できる方法は、原子力発電の一択になってしまいます。

夏や冬に電力不足が発生しないよう、また電気代が大幅に値上がりするようなことが無いように、一日も早く少しでも多くの原子力発電所が再稼働するよう、見守っていきたいと思います。