発送電分離その後

大手電力会社の発電部門と送電部門を別会社にするという「発送電分離」が、4月1日にスタートしてから一ヶ月以上が経ちました。

発送電分離がスタートしました

従来は大手電力会社が送電部門を持っていたために、送電の使用料などを新電力会社側に上乗せすることが出来たため、どうしても不公平な競争となっていました。しかしこの「発送電分離」によりその不公平な状況を是正しよう、というのが最大の目的です。

しかし現状、その効果が出ているかどうかと考えると、かなり微妙なところがあると思われます。

もちろんまだ一ヶ月ちょっとしか時間が経っていないこともありますし、また新型コロナウイルスもありましたので、そう早くには結果が出ないこととは思いますが、逆に言うとやはり発送電分離は、「すぐに」電気料金に影響を及ぼすものでは無い、ということの裏返しだと言うことも出来ます。発送電分離で電気代が下がるよりは、原油価格の暴落で電気代が下がったり、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」により電気代が上がったりと、そちらの方の影響が大きいという事になるでしょう。

原油価格暴落が電気代に与える影響とは

2020年5月の電気代は大手電力会社すべて値上げ

「送電部門を別会社にする」とは言ったものの、それら分離した送電会社は大手電力会社のグループ内にいる、という扱いになっていますので、実は今までとそれほど変わらないのでは無いか?という声もあがっています。本来であれば資本関係なども、完全に別の独立した存在にしないとならないでしょう。しかしそれにはまだまだ多くの課題が積み残されています。

また2019年の台風19号の影響千葉県方面で長期停電が起きてしまったように、送電線などをより強化していかないとなりません。また今後増えていくだろう再生可能エネルギーに対応した送電線にも、備えていかないとなりません。送配電部門の課題は実はまだまだ山積みなのです。

台風19号の恐るべき被害

発送電分離は「電気市場の公正な競争」を促し、「電気代が安くなる」という謳い文句で、導入されました。しかし現状まだその効果は出てきていないようです。どれくらいの値下げ効果があるのか、また送電に関する様々な課題をどう解決していくのか、じっくりと見守っていきたいと思います。