3月に発生した「電力需給ひっ迫警報」により、関東で大停電の危機が発生したということは、皆さんまだご記憶のことと思います。その電力不足の原因ですが、そもそもこの10年ほど原子力発電所が稼働していなかったために慢性的な電力不足に陥っていたことに加え、大地震の影響により火力発電所2基が停止してしまった、という事が根本的な原因でした。もちろん季節外れの大寒波がやってきていた、という要因もあったわけですが、はただでさえ電力不足だったところに更に発電所が停止してしまったわけですから、これは本当にいつ大停電になってもおかしくなかったわけです。
結局3月の時はなんとか大停電を回避できたのですが、しかしそれでは今度の冬は一体どうなってしまうのでしょうか?結論から言ってしまうと、2022年の冬も電力需給はかなり厳しくなるようです。
読売新聞オンライン:22年度冬の電力需給厳しく、厳寒なら東電管内で電力不足の見通しも…経産省
経済産業省は12日、2022年度の冬の電力需給が厳しくなるとの見通しを公表した。10年に1度の厳寒になると仮定した場合、東京電力管内で23年1、2月に、需要に対する電力の供給余力を示す「予備率」がマイナスとなり、電力が足りない状態に陥るとの見通しを示した。
今年3月に発生した福島県沖地震の影響などで停止中の火力発電所2基の復旧が遅れる可能性があるためだ。厳寒の場合、東電管内の予備率は23年1月にマイナス1・7%、2月にマイナス1・5%と予想されている。
電力を安定的に供給するには、予備率が3%は必要とされ、下回れば大規模停電を引き起こす恐れがある。関西電力や中部電力など他の6社の管内も、厳寒の場合に1、2月の予備率が3%を下回る見通しで、全国的に電力の確保は綱渡りの状況となる。
NHK NEWS WEB:来冬の電力需給見通し 東京電力管内の予備率はマイナスと予測
経済産業省は来季の冬の電力需給の見通しを示しました。
このうち東京電力管内では先月、東北地方で起きた地震で発電所の設備が壊れた影響もあり、安定供給に必要な予備率3%を大幅に下回ってマイナスになると予測し、極めて厳しい状況です。経済産業省は12日に開いた審議会で、ことし12月から来年3月までの冬の電力需給の見通しを示しました。
電力の安定供給には、ピーク時の電力需要に対する供給の余力=予備率が3%は必要とされています。
10年に1度の厳しい寒さを想定した場合、東京電力の管内では、
▽来年1月はマイナス1.7%、
▽来年2月はマイナス1.5%になると予測しています。現時点では電力の供給が十分確保できないことを意味します。
経済産業省は、万が一に備えて計画停電の準備が必要になるとの見方を示しています。
経済産業省が「計画停電」にまで言及した、という事はこれはかなり切羽詰まった状況だといえます。もちろんこれは現状を踏まえての予測なので、例えばそれまでに原子力発電所をいくつか再稼働させれば、なんとか電力を増やすことは出来るでしょう。しかし原子力発電所の再稼働は、決定してからすぐ出来るものではありません。それなりの準備期間が必要となります。今から決定しても、この冬に間に合うかどうか、という所でしょう。
更に不測の災害などの心配もあります。先日のような大地震はもちろん、ロシア・ウクライナ情勢によっては、天然ガスの輸入量が今以上に減ってしまうことも考えられます。プラスかマイナスかでいえば、電力がマイナスになる事の方が可能性としては高くなる事が予想されます。
本来であればこうした電力不足になる前に、なんとかして原子力発電所を再稼働させるべきでした。しかしご存じの通り、関東および東北の原子力発電所はまだ再稼働が決定していません。せめて一つでも再稼働決定していれば違ったのでしょうが、今はそこを言っても仕方ありません。せめて来年再来年には電気が確保できるよう、今からでも再稼働を進めていくことが大切です。そしてこの冬に備えて、少しでも電気を確保する方法、個人であれば電気を節約する方法を考えて備えておくことが必要になってきます。