はじめに
新型コロナウイルスの懸念がまだまだ続く今年の夏は、恐らく誰も経験したことの無い夏となるでしょう。ところで新型コロナウイルスでは「三密」、つまり密閉、密集、密着を可能な限り避けることが大切と言われています。でも夏であれば普段から窓を開けることが多いので、適度に空気の入れ替えが出来ますから、冬よりはかなり対策が楽だと言えるでしょう。
エアコンで換気は出来るのか?
ところでエアコンでは「換気」が出来ると思いますか?先ごろ大手空調機器メーカーのダイキンが行った調査では、およそ50%の人が「換気が出来る」と答えたそうです。しかし実はエアコンはごく一部の機種を除いて、「換気が出来ない」のです。
NHK NEWSWEB:「エアコンで換気」できる?できない? 誤解が半数超
大手空調機器メーカーの「ダイキン工業」は、新型ウイルスの感染拡大を受け、ことし4月24日から26日までの3日間、全国の男女500人を対象に「換気」をテーマにアンケート調査をしました。
それによりますと、感染拡大を受け
▽「換気に関する関心が高くなった」と答えた人は79.2%
▽「家で換気ができていると思う」と答えた人は74.5%に上りました。
一方、限られた製品を除いて「ほとんどのエアコンは換気ができない」ということを54.4%の人が「知らなかった」と答えたということです。
MBS NEWSミント:”部屋閉めたままエアコン”はウイルス舞い続ける…新型コロナ対策の夏に必要な”換気”のポイントは?
しかし、エアコンを利用する時に新型コロナウイルスの感染対策で注意しなければならないことがあるといいます。それは”換気”です。実は、ほとんどのエアコンで換気はできませんが、空調メーカー「ダイキン工業」の調査によりますと、エアコン利用者の半分以上がエアコンで換気できなことを『知らなかった』と回答したといいます。
「多くの方がエアコンで換気ができていると思われているが、実際は部屋の中で空気をかき混ぜているだけ。」(ダイキン工業・広報 高木旭さん)
一般的なエアコンは、室内機に取り込んだ空気から冷媒ガスの働きで熱を奪って外に出し、冷やして部屋に戻すという仕組みです。つまり、エアコンはあくまで部屋の空気を取り込んで”循環”させていることになります。
このようにエアコンは換気をしないで、室内の空気を循環させることで部屋を冷やしているだけです。エアコンの仕組みについて、もう少し詳しく見てみましょう。
エアコンの仕組み
上の記事にもあるように、エアコンは室内の空気を取り込み、室外機内で冷やし、それを再度戻すことで部屋を涼しくしてくれます。
SDSエアコン取り付けコージ君:エアコンはなぜ冷えるの?意外と知らないエアコンの仕組み
上の図のように、冷媒ガスはエアコンの室内機と室外機を結ぶ冷媒配管の中を循環しています。
冷房運転の場合、室外機の減圧器で低温の液体になった冷媒ガスは、室内機に運ばれて熱交換器を冷やします。この時、室内機ではファンで吸い込まれたお部屋の空気が、冷やされた熱交換器によって熱を奪われ、冷たくなった空気はファンで再びお部屋に放出されるため、室内機から冷たい風が出ていると感じるのです。
部屋の熱を吸収した気体の冷媒ガスは室外機に戻って圧縮器で高温の気体となります。その後、室外機の熱交換器を通過する際、ファンによって冷却されるため室外機の正面から暖かい空気が放出されます。夏場、室外機から暖かい風が出ているのは、冷媒ガスの熱が放出されているからなのです。
更に分かりやすく解説したページが以下になります。子供向けですが、図が分かりやすいので参考にしてください。
これでエアコンが換気をしないで、部屋を冷やしている、という事がおわかりいただけたかと思います。それでは新型コロナウイルス対策として、どのようにエアコンを使っていけばいいでしょうか?
新型コロナウイルス対策とエアコン
「換気」は新型コロナウイルスには、有効な手段です。ですので、エアコンを使いながら定期的に換気をする、というのが現状では一番正しい新型コロナウイルス対策ということになります。定期的に窓をあけて、しばらく空気を入れ替えるだけでも効果はあります。
だったら最初からエアコンを使わずに、外気だけで過ごせばいいのでは無いか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それでは温度が下がらないままなので、熱中症などになってしまう恐れがあります。この点は厚生労働省も注意喚起を行っております。
厚生労働省:「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました
熱中症予防のためにはエアコンの活用が有効です。ただし、一般的な家庭用エアコンは、空気を循環させるだけで換気を行っていません。新型コロナウイルス対策のためには、冷房時でも窓開放や換気扇によって換気を行う必要があります。換気により室内温度が高くなりがちなので、エアコンの温度設定を下げるなどの調整をしましょう。
可能な限り熱中症にならないようにエアコンを使いつつ、適度に換気を行う事が大切となります。そう考えるとなかなか難しいような気がしますが、少しずつ確実に行っていくようにしたいものです。
最後に
最初にも書いたように、この夏は新型コロナウイルスに感染しないように注意しながら、熱中症対策も行わないといけない、という意味ではまさに始めての経験となるでしょう。なかなか慣れない部分もあるかと思いますが、あまり無理をせず、少しでも熱中症の危険を感じたら、無理せずエアコンを使うことも大切となってきます。