洋上風力発電とは
「風力発電」については、以前もこの工場電気ドットコムのコラムでも何度か書いたことがあります。
その名前の通り「風力」すなわち風の力を利用してタービンを回し、発電を行います。火力発電などと違い炭酸ガスなどを発生しない「クリーンなエネルギー」であるため、いわゆる「再生可能エネルギー」として、今後に期待されている発電方法の一つです。
この風力発電ですが、設置するために広い土地が必要となります。特に日本はどうしても山岳地形が多いため、風力発電を建てるのに適した土地は、なかなか多くありません。そうした問題を解消するために陸上では無く、海上に風力発電の風車を建てようという動きがあります。これが「洋上風力発電」と呼ばれるものです。特にヨーロッパでは、この洋上風力発電が近年増加しています。
日本でも、こうした洋上風力発電の建設が進められています。これは2019年に「再エネ海域利用法」が施工されたためです。これは再生可能エネルギーの発電施設を海上に作るために、作られた法律です。再生可能エネルギーの発展は日本のエネルギー問題に必要なものです。そこでこうした法律などで、再生可能エネルギー発電を促進させているのです。
洋上風力発電のメリットとデメリット
それでは洋上風力発電のメリットとデメリットを見ていきましょう。まず洋上風力発電のメリットは以下の通りです
- 土地などの制限を少なく、大型の風車を設置できる
- 騒音などの影響が小さい
- 安定して風の力を得ることが出来る
元々風力発電では、時として風車の騒音などが問題となっています。とても大きなブレードが回る際の騒音が時として、近隣の住民の方に迷惑となってしまうのです。しかし海上に設置するのであれば、近隣に住民もいないので、大きなブレードのものを設置することが出来るのです。
一方で海上に風力発電を設置することで、以下のようなデメリットも発生します。
- メンテナンスや維持管理などが手間
- 陸地まで電気を運ぶために長い海底ケーブルが必要となる
- 台風などで倒壊した場合の復旧作業が面倒
人が住んでいない地域に設置するわけですから、ある程度のデメリットは受け入れないとならないのですが、海上に設置するために、どうしても想定外の不具合や事故などが発生してしまいます。そうしたメンテナンスなどに費用と手間がかかってしまうのは、今後の課題だと言えるでしょう。
最後に
日本は土地が狭く、また山が多いために、新しく発電所を設置する土地も限られてしまいます。そうした中、広い海を利用して発電所などを設置するのは、ある意味では自然な流れだと言えるでしょう。しかしメンテナンスやコスト面などで、まだまだ課題が多く残されているのも事実です。
特に再生可能エネルギーは、火力発電や原子力発電に比べて不安定な発電方法です。かけたコストに対して、どうしても効率が悪くなってしまいます。また日本は特に自然災害が多く発生する国でもあります。そうした問題をいかに解決して効率良く発電をしていくかが、今後の大きな課題となってくるでしょう。