まだまだ後を絶たない新電力詐欺

何度かご説明しておりますが、いわゆる「新電力」というものがスタートしたのが、1999年のことになります。この年、大型の工場や大型のデパート、ビルディングなどの「特別高圧電気」を利用しているところに対して「電力自由化」が行われました。その後2003年に中規模向上、中型ビルディングなど「高圧電気」に対して、そして2016年には一般家庭向けの「低圧電気」に対して、電力自由化が行われて前面解禁となりました。多くの方が「電力自由化」や「新電力」という言葉を聞いたのは、おそらく2016年前後では無いでしょうか。

ですので、新電力自体はもう日本でも20年近い歴史があるのですが、一般の方にとってはまだ馴染みの薄い新しい言葉のような印象を受けるようです。そのせいでしょうか、いわゆる「新電力詐欺」が、まだまだ横行しているようです。

新電力詐欺の手口とは?

これはTwitterにアップされていた、新電力詐欺に遭遇したという体験談です。その手口としては、「電気メーターの交換」という名目で来た業者が、「電気料金が安くなりますよ」と勧誘してきたとのことです。更にその場で契約書にサインをさせる、というかなり悪質な手口のようです。

現在確かに「電気メーターの交換」は、進められています。旧式の電気メーターから、新型のスマートメーターへと切り替えるという作業が、全国的に進められています。しかし電気メーターの交換は、電気代が安くなるということとは、全く別に進められている案件です。電気メーターを交換しても電気代は基本的にはそのままですし、電気メーターを交換しないままで電気代が安くなる、という事も可能です。

工場電気ドットコムで電力会社を切り替えた皆さまに対して、切り替えに合わせて電気メーターを新型のスマートメーターに取り替えることがありますが、その作業はもちろん電力会社を切り替えていただいた「」に行います。もちろん電気メーターの交換自体は、無料で行っておりますし、作業時間も20分程度のものとなります。

また少し前に話題になったところでは、エレトス電気という新電力の関係会社が、顧客に対して会社は変えずにより安くなる別プランにするように説明しつつ、実際にはエレトス電気に切り替えさせる、というような虚偽の説明で詐欺的行為を行っていました。エレトス電気はそうした行為が発覚したために、業務停止となってしまいました。

このような詐欺的手口で、無理やり契約を切り替えるといった新電力会社がいることは、業界関係者である私達にとってはとても恥ずべきことです。

新電力詐欺に騙されないためには?

ではこのような新電力詐欺に騙されないようにするには、どうしたらいいでしょうか?

飛び込みの営業や営業電話は相手にしない

まず基本的なことですが、飛び込みなどのノーアポの戸別訪問や電話による営業などは、なるべく相手にしないことです。戸別訪問の場合は、巧みな話術によって、ついつい話を信じてしまう、という可能性があります。くれぐれもご注意ください。

また電話営業などの場合、どうしても営業対象が多くなるため、人件費などが高くなってしまいます。そうなるとその分の費用が電気代に上乗せされてしまうので、おのずと電気代も高くなってしまうはずです。

最近ではインターネットなどで、詐欺会社の情報が共有されています。怪しい戸別訪問や営業電話が来たら、まずその場で判断しないで、名刺や電話番号などの情報を使ってその会社の情報をインターネットで調べてみるといいでしょう。

その場で契約書にサインをしない

上で紹介したTwitterでの体験談もそうなのですが、詐欺的な行為を行っている会社は、とにかく早く契約をさせよう、と躍起になっています。特に戸別訪問などの場合、その場でサインを書かせようとしてくる傾向が強いようです。

契約までに時間がかかると、その間に情報収集をされて詐欺会社であることがバレてしまいます。ですので、とにかく契約を急かしてくるようなところは要注意だと思った方がいいでしょう。

また業者を家にあげてしまうと最悪の場合、新電力に関わらず貴重品などを盗まれてしまう、というような事も懸念されます。飛び込みの営業などは相手にせず、どうしてもというときは話だけ聞いて(決して書類にサインなどはしないように!)名刺をもらい、その営業が帰った後に名刺に書かれている会社名などで検索をしてみるといいでしょう。

商品の売り込みには注意!

新電力は「現在の環境のまま、電気が安くなる」というのが最大の特徴です。新しい機械や製品などを購入する必要は、一切ありません。逆にいうと、「電気代が安くなりますよ」という売り込み文句でなんらかの機械・製品などを購入させようとしてくるのは、疑った方がいいでしょう

中には実際に電気料金が安くなる機械なども、あるかもしれません。しかしそれ自体は「新電力とは全く無関係」なのです。ですので「新電力」とそうした機械や製品を組み合わせてくるような所は、ほぼ確実に怪しいと思っておいた方がいいでしょう。

電気料金の仕組みについて知っておく

そしてこれが肝心なことなのですが、電気料金の仕組みについてあらかじめ知っておく、ということがとても重要です。そして電気についてのある程度の知識を持っておけば、営業に来た会社が怪しいのか怪しくないのか、出してきた料金が高いのか安いのか、などの判断がつくようになります。電気料金の一般的な相場がわかっていれば、あまりにも安すぎる価格出してきた所は、どうも怪しいのでは無いか?という判断が取れるようになります。

そのような判断がつく程度の電気料金に関する知識をあらかじめ持っておくと、新電力詐欺に対しての防衛策となるでしょう。

最後に

残念なことですが、悪徳商売はどの業界にも存在いたします。であればこそ、最終的にはご自身の知識が防衛手段となるのです。電気に対して正しい知識、正しい感覚を身に着けておくことが、新電力詐欺に対してのたった一つの有効手段となるのです。