先日インターネットを見ていたら、このような記事を見つけました。
WOMAN SMART:電気代が月5万円に急騰も 新電力の契約内容確認を
今回電気代が高騰したのは、新電力会社と契約している家庭全てではなく、「市場連動型」という料金プランで契約していた場合です。市場連動型プランとは、日本卸電力取引所(JEPX)の価格に連動して電気料金の単価が決まります。2020年12月中旬から21年1月にかけてJEPXの価格が高騰したため、家庭で使用している電力の価格に反映されました。
JEPXの価格が高騰した理由としては、寒波による電力需要の増加と火力発電の燃料である液化天然ガス(LNG)の不足があげられています。
19年度のスポット価格の平均は7.9円/kWhだったところ、昨年末からの急激な上昇で21年1月15日には一時、251円/kWhを超え、1日の平均でも100円/kWhを超える日が続きました。ざっと見ても、例年の10倍を超える水準です。
正直今更感の拭えない記事ではあります。今回の電気代高騰については、すでに2020年末くらいから指摘され、当工場ドットコムでも1月の早い段階で記事にしています。当コラムの読者の皆さんであれば、当然ご存知かと思います。
ただ普段あまり電気代を気にしてないような方たちにとっては、2月末くらいの電気代請求で、初めて電気代が高くなった!と認識をしているのかもしれません。そういった意味では、タイミングとしてはいい記事なのかもしれません。
せっかくの機会なので、ここでおさらいしておきます。2020年末から2021年にかけて日本は何度か寒波にみまわれています。寒くなれば当然ですが、暖房などが多く使われるようになり、それに伴って電気の利用需要が高まります。
それとは別に、現在の火力発電の主要なエネルギー源となっているLNG(液化天然ガス)が世界的に不足しているという状況が起きていました。新型コロナウイルスによる影響でもありますし、また海路の渋滞など悪い状況が重なってしまったためでもあります。特に現在日本の発電はそのほとんどを火力発電に頼っているため、余裕を持った発電が出来なくなってしまっていました。
更に先程の寒波の影響により、太陽光発電や風力発電なども機能しなくなり、電力供給は更に減ることになってしまいました。
こうした条件がいくつも重なってしまい、JEPX(日本卸電力取引所)での取引電力価格が高騰することになりました。特にJEPXと連動した形で電気代が決まる、市場連動型プランで電気を契約されているような方たちにとっては、大変高額な電気代になってしまった事でしょう。
ちなみに市場連動型プランは今回のように電気が不足してしまっている時などには、電気代が高騰するというデメリットがありますが、普段は平均よりも電気代が安くなるというのが最大のメリットです。電気代が高騰するといっても、それが何年も続くわけでは無い、と考えれば総合的はお得なプランだと言えるかもしれません。もちろんそうしたデメリットを理解して、受け入れる必要があります。
いずれにしても季節が春になるにつれ、電力の需要は下がってきます。そうなれば電気料金の高騰は緩和されるでしょう。ただしLNGの不足などは、いつまた同じようなことが起きないとも限りません。電気代だけでは無く、大規模な停電にも繋がってくることですので、早急な対策が求められます。さしあたって考えられる方法としては、大量の電気を安定して安価で発電することが出来る、原子力発電所の再稼働がもっとも現実的な方法だと思われます。
電力自由化は私達には様々な恩恵をもたらしてくれました。しかしメリットがあれば当然デメリットがあります。メリットばかりに目を向けないで、デメリットの事もしっかりと理解して、受け入れる覚悟こそが大切なのかもしれません。