「脱炭素社会」は、菅政権にとって大きな政策の柱だと言うことができます。もちろんこれは日本のことだけでは無く、世界中のほとんどの国が「脱炭素」へ向けて動いている、という事でもあります。ところで火力発電などではどうしても二酸化炭素が出てしまいますが、実は二酸化炭素を全く排出しない発電方法があります。それは何かご存知でしょうか?
それは実は「原子力発電」です。原子力発電は二酸化炭素を全く排出しない発電方法なのです。「脱炭素」を掲げるのであれば、本来は原子力発電所を増やしていくしか無い、という事になります。しかし現在日本ではほとんどの原子力発電所が、稼働停止してしまっています。そこで代わりに太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの設置が、進められている状況です。
ところで旧来の発電方法で二酸化炭素を排出しないものがもうひとつあります。それは「水力発電」です。水力発電はダムに貯めた大量の水の力を利用してタービンを回して、発電するという方法です。ただ水が落下する力を利用するだけなので、二酸化炭素を排出することはありません。しかしダムを作るのには、広大な面積が必要です。「ダムの底に沈んだ村」などの話は、聞いたことある方もいらっしゃるかもしれません。またダムは建設するのに、それなりの時間がかかってしまいます。そういった意味では初期コストがかなりかかってしまうのが問題だと言えるでしょう。
しかしそうした水力発電を見直して、再度活用していこうという流れが起きているようです。
電気新聞:エネ庁、水力活用てこ入れ/他省庁交え新規開発など検討
経済産業省・資源エネルギー庁は、水力発電の最大限の活用に向けた検討に乗り出す。停滞する新規開発の促進や既存治水ダムの発電利用、人工知能(AI)などによるダムの最適運用を念頭に置く。29日に他省庁、事業者などを交えた非公開の勉強会を発足させ、2021年内に議論を終える予定。その後の予算措置や制度改正などを視野に入れる。再生可能エネルギー主力電源化を見据え、太陽光や風力のみならず、確立した脱炭素技術の水力をてこ入れし、50年カーボンニュートラルの一助とする。
「脱炭素」という事を考えると、こうした流れは当然だと言えるでしょう。本来であれば原子力発電を利用すればいいのですが、現在の日本ではほとんど稼働停止してしまっているため、難しい状況です。再稼働にもまだまだ時間はかかるでしょう。だからといって火力発電には頼ることはできません。太陽光・風力発電はまだまだ安定して大量の電気を発電することができません。となると残った水力発電にスポットが当たるのは、至極当然のことです。
もちろん実際にどういうテコ入れがされるのかは、今後の流れを見ていかないとならないでしょう。さすがに21世紀の現在にあって、村をひとつつぶしてまでダムを作るということが許されるかどうかは、難しいといえるでしょう。であれば小規模なダムを多く作っていく、という所に落ち着くのでは無いでしょうか。
いずれにしても、今後の動向を見守っていく必要があると思います。