家庭用太陽光発電の余剰電力を固定価格で買い取る、いわゆる「固定価格買取制度」は、2019年11月以降順次終了となっています。「家庭用太陽光パネルを取り付ければ余った電気を高く買い取ってもらえるのでお得ですよ」という営業の言葉を聞いた事がある方も多いのでは無いでしょうか。それがまさに「固定価格買取制度」があったからこそ出来たことなのですが、その制度が終了あるいは縮小に向かったために、今後売電をどうするかお考えの方もいるかと思います。
そんな中で東京都が、そうした家庭用の太陽光余剰電力を都の施設で活用する、という方針を出してきました。
東京都は再生可能エネルギーの普及に向けて、家庭での太陽光発電で余った電力を都の施設で活用する事業を新たに始めることになりました。
温室効果ガスの削減に力を入れている東京都は2030年までに都の施設で使うすべての電力を再生可能エネルギーで賄うことを目指しています。
この一環として家庭での太陽光発電で余った電力をすべての特別支援学校や廃棄物埋立管理事務所など一部の都の施設で活用する事業を新たに始めることになりました。
都は申し込みをした家庭に都の施設に電力を供給する企業と契約してもらい、ことし12月から買い取りを始めます。
電気の買取価格は通常の価格よりも若干上乗せされるので、普通に販売するよりはお得になります。しかしベースとなる金額が低くなってしまっているので、それをどう受け取るかは、それぞれの家庭の事情により変わってくるでしょう。
ただ既に何度も書いていますが、太陽光発電は雨天や夜間などは発電が出来ません。今回は「都の施設」という事なので、夜間にはあまり使われないだろうという事は予想できますが、雨天の場合などには、電気の供給が不安定になってしまうのでは無いか、と思います。そうした対策は既に考えられているのだとは思いますが、一気に太陽光発電に切り替えていくのは、まだ若干不安が残ると言わざるを得ません。
またそれと併せて東京都では、家庭用蓄電池の導入に補助金を出すことになりました。
スマートジャパン:東京都が家庭用蓄電池の導入に補助金、太陽光の自家消費を後押し
東京都は2020年9月11日、太陽光発電用の蓄電池システムを設置した住宅に、その費用の一部を補助する助成事業を開始すると発表した。蓄電池の活用による太陽光発電の効率的な活用を促す。
補助を受けられる対象条件は、都内の住宅に未使用の蓄電システムを新設すること。この際、既に太陽光発電システムを同時設置するか、既に設置していることも条件と成る。また、家庭の太陽光発電などのデータ、再エネ電力の自家消費に伴う環境価値などの提供が可能であることも条件としている。
いずれにしてもこれからは太陽光発電などの、再生可能エネルギー発電を普及・発展させていかないとなりません。そのためにはこうした利用や補助金などが必要になってくると思います。しかしそれらにかかる費用が私達の電気代に上乗せされたり、あるいは税金などに上乗せされるのであれば、それはちょっと待っていただきたい、というが偽らざる本音でしょう。
こうした再生可能エネルギー発電をめぐる問題は、まだこれからも多く出てくるでしょう。そうした問題に真摯に向き合っていくことこそが、今後ますます必要になってくるのだと思います。